他人におびえ自分を護るためだけにふるう剣なんてもう捨てちゃいなさい
くれてあげますよ 私の剣
剣(そいつ)の本当の使い方をしりたきゃ付いてくるといい
これからは剣(そいつ)をふるい
敵を斬るためではない 弱き己を斬るために
己を護るのではない 己の魂を護るために
<第180話「大切な荷ほど重く背負い難い」、劇場版 銀魂 新訳紅桜篇>
勝者が得るのは 自己満足と慢心位なものです
敗者(きみ)はそんなものより意義のあるものを勝ち得たんですよ
武士道とは弱き己を律し強き己に近づこうとする意志
自分なりの美意識に沿い精進する その志をさすのです
だから勉学に励み少しでも真っ当な人間になろうとする彼等も
少しでも強くなりたいとこんな所に道場破りにきた君も
私にとっては立派な侍なのです
たとえ氏も素性もしれなくとも たとえ護る主君も戦う剣ももたなくとも
それぞれの武士道を胸に掲げ それぞれの侍になる事はできる
そんな彼等を一人でも多く見届けるのが
そう 私の掲げた武士道なのかもしれません
君も道に迷ってここに辿りついたんでしょう
私もそうです 未だに迷っている
それでいい…悩んで迷って 君は君の思う侍になればいい
…私が抗ったのは天ではない 自分です
奪う事しかしてこなかったこの手で 何かを与える事ができるんじゃないかとね
でも結局叶いませんでした 与えられたのは私の方でしたよ
人は生まれながらに弱さを抱えている生き物です
誰もがそれぞれ折り合いのつかない自分を抱え苦しんで生きている
残念ながらその苦しみから逃れる術はありません
ですが 自分の弱さに翻弄され 苦しむだけではない
自分の弱さと向き合い 抗い 変わろうと苦しむ事もできる
あの小さな侍達が教えてくれました
人は 思ったより自由です